> > 【その他の制度等】2. 法令に基づく規制措置等
090

2015.10.27

【その他の制度等】2. 法令に基づく規制措置等

法令による規制措置(例)
建築基準法による命令・代執行(第9条(1)(2)(12)、第10条(3)(4))
  • ◯ 特定行政庁は、違反建築物について、除去、移転、改築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等必要な措置を命令できる。
  • ◯ 特定行政庁は、現に著しく保安上危険な既存不適合建築物等については、用途・規模によらず、除去、移転、改築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等等必要な措置を命令できる。
  • ◯ 特定行政庁は、上記いずれの場合も、該当措置が講じられないとき等は代執行できる。また、過失がなくて所有者等を確知することができず、かつ、放置することが著しく公益に反すると認められる場合も、代執行できる。

※特定行政庁: 都道府県知事及び建築主事を置く市などの長をいう。

消防法による命令・代執行(第3条)
  • ◯ 消防庁、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防上危険な場合等について、空き家の周辺に放置された燃焼のおそれのある物件等の除去等を命令できる。
  • ◯ 消防庁、消防署長は、上記の命令による措置が講じられないときは代執行できる。所有者等を確知することができない場合も、消防長等により代執行と同等の措置が可能。
廃棄物処理法による命令・代執行(第19条の4、第19条の7)
  • ◯ 市町村長は、廃棄物の不法投棄について、生活環境の保全上支障がある場合について、不当放棄を行った者に対し、支障の除去・防止について必要な措置を命令できる。
  • ◯ 市町村長は、上記の命令による措置が講じられないとき等は代執行できる。まや、過失がなくて処分者等を確知することができない場合も、代執行できる。
密集市街地整備法による勧告(第13条)
  • ◯ 所管行政庁は、密集市街地のうち特定防火地域等にある延焼等危険建築物に対し、除去を勧告できる。

法令による規制措置の例

■ 保安上危険な既存不適合建築物等に対する措置(建築基準法第10条(3)(4))の概要

  • ◯ 特定行政庁は、現に著しく保安上危険な既存不適合建築物等については、用途・規模によらず、除去、移転、改築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限等等必要な措置を命令できる。
  • ◯ 特定行政庁は、上記いずれの場合も、該当措置が講じられないとき等は代執行できる。また、過失がなくて所有者等を確知することができず、かつ、放置することが著しく公益に反すると認められる場合も、代執行できる。
    (代執行費用は、義務者から徴収することができる。)
  • ◯ 特定行政庁の命令に違反した者に対し、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

※特定行政庁: 都道府県知事及び建築主事を置く市等の長をいう。

保安上危険な既存不適合建築物等に対する措置

【命令件数】16件(平成17年度〜平成25年度) (特定行政庁へのアンケート調査より)
このほか1件は所有者を特定できなかったため、地方恐々団体は命令せず略式代執行を行っている事例がある。

法令による規制措置(例) (根拠条文)1

建築基準法(昭和25年法律第201号)(抄)

第九条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

2〜10 (略)

11 第一項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、特定行政庁又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。

12 特定行政庁は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又は履行しても同項の期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。

13〜15 (略)

第十条 (略)

2 (略)

3 前項の規定による場合のほか、特定行政庁は、建築物の敷地、構造又は建築設備(いずれも第三条第二項の規定により第二章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合においては、当該建築物又はその敷地の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。

4 第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前二項の場合に準用する。

法令による規制措置(例) (根拠条文)2

消防法(昭和27面法律第186号)(抄)

第三条 消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長。第六章及び第三十五条の三の二を除き、以下同じ。)、消防署長その他の消防吏員は、屋外において火災の予防に危険であると認める行為者又は火災の予防に危険であると認める物件若しくは消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者若しくは占有者で権原を有する者に対して、次に掲げる必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

  1. 一 火遊び、喫煙、たき火、火を使用する設備若しくは器具(物件に限る。)又はその使用に際し火災の発生のおそれのある設備若しくは器具(物件に限る。)の使用その他これらに類する行為の禁止、停止若しくは制限又はこれらの行為を行う場合の消火準備
  2. 二 残火、取灰又は火粉の始末
  3. 三 危険物又は放置され、若しくはみだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去その他の処理
  4. 四 放置され、又はみだりに存置された物件(前号の物件を除く。)の整理又は除去

2 消防長又は消防署長は、火災の予防に危険であると認める物件又は消火、避難その他の消防の活動に支障になると認める物件の所有者、管理者又は占有者で権原を有するものを確知することができないため、これらの者に対し、前項の規定による必要な措置をとるべきことを命ずることができないときは、それらの者の負担において、当該消防職員(消防本部を置かない市町村においては、消防団員。第四項(第五条第二項及び第五条の三第五項において準用する場合を含む。)及び第五条の三第二項において同じ。)に、当該物件について前項第三号又は第四号に掲げる措置をとらせることができる。この場合において、物件を除去させたときは、消防長又は消防署長は、当該物件を保管しなければならない。

3 (略)

4 消防長又は消防署長は、第一項の規定により必要な措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、又はその措置の履行について期限が付されている場合にあつては履行しても当該期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)の定めるところに従い、当該消防職員又は第三者にその措置をとらせることができる。

法令による規制措置(例) (根拠条文)3

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)(抄)

第一九条の四 一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあつては、特別管理一般廃棄物処理基準)に適合しない一般廃棄物の収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、市町村長(前条第三号に掲げる場合にあつては、環境大臣。第十九条の七において同じ。)は、必要な限度において、当該収集、運搬又は処分を行つた者(第六条の二第一項の規定により当該収集、運搬又は処分を行つた市町村を除くものとし、同条第六項若しくは第七項又は第七条第十四項の規定に違反する委託により当該収集、運搬又は処分が行われたときは、当該委託をした者を含む。次条第一項及び第十九条の七において「処分者等」という。)に対し、期限を定めて、その支障の除去又は発生の防止のために必要な措置(以下「支障の除去等の措置」という。)を講ずべきことを命ずることができる。

2 前項の規定による命令をするときは、環境省令で定める事項を記載した命令書を交付しなければならない。

第一九条の七 第十九条の四第一項に規定する場合において、生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、市町村長は、自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。この場合において、第二号に該当すると認められるときは、相当の期限を定めて、当該支障の除去等の措置を講ずべき旨及びその期限までに当該支障の除去等の措置を講じないときは、自ら当該支障の除去等の措置を講じ、当該措置に要した費用を徴収する旨を、あらかじめ、公告しなければならない。

  1. 一 第十九条の四第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命ぜられた処分者等が、当該命令に係る期限までにその命令に係る措置を講じないとき、講じても十分でないとき、又は講ずる見込みがないとき。
  2. 二 第十九条の四第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命じようとする場合において、過失がなくて当該支障の除去等の措置を命ずべき処分者等を確知することができないとき。
  3. 三 (略)
  4. 四 緊急に支障の除去等の措置を講ずる必要がある場合において、第十九条の四第一項又は第十九条の四の二第一項の規定により支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずるいとまがないとき。

2 市町村長は、前項(第三号に係る部分を除く。)の規定により同項の支障の除去等の措置の全部又は一部を講じたときは、当該支障の除去等の措置に要した費用について、環境省令で定めるところにより、当該処分者等に負担させることができる。

3 (略)

4 市町村長は、第一項(第四号に係る部分に限る。)の規定により同項の支障の除去等の措置の全部又は一部を講じた場合において、第十九条の四の二第一項各号のいずれにも該当すると認められるときは、当該支障の除去等の措置に要した費用の全部又は一部について、環境省令で定めるところにより、当該認定業者に負担させることができる。この場合において、当該認定業者に負担させる費用の額は、当該一般廃棄物の性状、数量、収集、運搬又は処分の方法その他の事情からみて相当な範囲内のものでなければならない。

5 前三項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法 (昭和二十三年法律第四十三号)第五条 及び第六条 の規定を準用する。

法令による規制措置(例) (根拠条文)4

密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年法律第49号)(抄)

所管行政庁は、防災再開発促進地区の区域であって都市計画法第八条第一項第五号 の防火地域(以下単に「防火地域」という。)、同号 の準防火地域(以下単に「準防火地域」という。)又は第三十二条第一項 の防災街区整備地区計画の区域(同条第二項第一号 に規定する特定建築物地区整備計画又は同項第二号 に規定する防災街区整備地区整備計画が定められている区域のうち建築物の構造に関し準防火地域における建築物の構造に関する防火上の制限と同等以上の防火上の制限が定められており、かつ、建築基準法第六十八条の二第一項 の規定に基づく条例でこの制限が定められているものに限る。)が定められているもの(第四項において「特定防火地域等」という。)の内にある老朽化した木造の建築物で次に掲げる条件に該当するもの(以下「延焼等危険建築物」という。)の所有者に対し、相当の期限を定めて、当該延焼等危険建築物を除却すべきことを勧告することができる。

  1. 一 当該建築物及びその周辺の建築物の構造及び敷地並びにこれらの建築物の密集している状況に照らし、大規模な地震が発生した場合において延焼防止上危険である建築物として国土交通省令で定める基準に該当するものであること。
  2. 二 国土交通省令で定める規模以上の地震が発生した場合において壁、柱等の主要な構造に著しい被害を受けるおそれがある建築物として、当該建築物の構造に関し国土交通省令で定める基準に該当するものであること。

工作物責任 (民法第717条)
  1. ◯ 土地上の工作物(建物等)に瑕疵(通常有すべき安全性の欠如)があり、その瑕疵と事故による損害との間に因果関係が認められれば、建物所有者・占有者は該当損害を賠償すべき責任を負う。この責任のことを「工作物責任」という。
  2. ◯ 工作物責任が問われるのは、第一次的には占有者であり、占有者が過失がないことを証明できたときには、第二次的に所有者が責任を負う。
    この場合の所有者の責任は無過失責任であり、建物の設置管理等に過失はない(十分に注意を払っていた)場合でも責任を負う

※ 建物自己予防ナレッジベース(国技技術政策総合研究所)より

【参考】民法(明示29年法律第89号)
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第七百十七条 土地の工作者の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹林の栽植又は私事に瑕疵がある場合について準備する。

3 全二項の場合において、損害の原因についてその他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

建築物の維持保全に関する依頼文章の事例(北九州市)

空き家に係る除排雪等の管理の確保 国土小審議協議会第7回豪雪地帯対策分科会(平成26年11月21日)資料より転載
  1. 地方公共団体による平時からの空き家所有者の特定等による適切な管理の促進
  2. 倒壊の恐れのある空家の除去等の支援
  3. 積雪により空家が既に倒壊した場合の対策

内閣府と国土交通省では、空家等の除雪、除却、既に倒壊した空家対応について、市町村等の参加となるように、関連法制度を整理した。

【空家等の除雪・除却・既に倒壊した場合の対応について、市町村の参考となる考え方の例示】

【基本的な考え方】
  • 民間所有の空家等は市町村の管理権限の及ばない財産。基本的には所有者自らの責任において管理すべき
  • しかし、「所有者・相続人不明」、「所有者に積極的な管理意志無し」等、適正な管理が行われない空き家等が存在。生活環境悪化や安全な生活へ支障が生じるケースが発生。
  • 市町村としては、平時から所有者を特定し、所有者の責任において除雪等を実施させる取組を行うことが必要。そのような取組にもかかわらず、空き家等に関する対応が必要となる場合には、以下の対策が実施可能

除雪について

◯ 災害対策基本法第64条第1項 (応急公用負担等)
(条件)

  • 災害が発生し又は、まさに発生しようとしている場合であり、かつ、応急措置を実施するため緊急の必要があると市町村長が認めた場合
(対応内容)

  • 市町村長の判断で雪下ろしのために該当空き家等に立ち入ることが可能
◯ 災害救助法
(条件)

  • 都道府県知事が該当市町村に災害救助法を適応した場合
  • 空き家等の管理者が不明であったり、管理者自らの資力では除雪を行えない等により、倒壊して隣接する住家に被害が生じるおそれがある場合
(対応内容)

  • 災害救助法に基づく障害物の除去として除雪が可能
  • ただし、後日、空き家等の所有者が判明した場合には、所有者に除雪に要した経費を請求することが原則

空き家等の除却等について

◯ 空き家等の適正管理条例
(条件)

  • 市町村が、空き家等の適正な管理を図るための条例を制定した場合
(対応内容)

  • 空き家等の除去等の措置命令や行政代執行による除却が可能
◯ 建築基準法による勧告・命令
  • 著しく保安上危険な既存不適合建築物等については、特定行政庁が除却等必要な措置の命令が可能。
◯ 社会資本整備総合交付金 (空き家再生等推進事業)
(条件)
空家住宅等の集積が居住環境を阻害し、又は地域活性化を阻害している以下の地域が対象

  • ・除却事業タイプ
    空き家住宅等の計画的な除却を推進しべき区域として地域住宅計画若しくは都市再生整備計画に定められた区域/立地適正計画の居住誘導区域を定めた場合はその区域外で空きや住宅等が居住環境を阻害し、又は地域活性化を阻害している区域
  • ・活用事業タイプ
    産炭等地域又は過疎地域/空き家住宅等の計画的な活用を推進すべき区域として地域住宅計画又は都市再生整備計画に定められた区域(立地適正化計画の居住誘導区域を定めた場合はその区域内に限る。)
(対応内容)
市町村が行う以下の取組に対して国が助成

  • 不良住宅、空き家住宅又は空き建築物の除却
  • 空き家住宅又は空き建築物の活用 等
◯ 過疎対策事業債
過疎市町村において、市町村内の在住者が危険な廃屋の取り壊し・除去・処分を行う所有者等に市町村の判断により補助等を行う場合に、財源として過疎対策事業債(ソフト分)を充てている事例もあり。

空き家等が既に倒壊した場合について

◯ 空き家等適正管理条例
(条件)

  • 市町村が、空き家等の適正な管理を図るための条例を制定した場合
(対応内容)

  • 倒壊した建物の措置命令や行政代執行による倒壊物権の除却が可能
◯ 災害廃棄物処理事業補助金
(条件)

  • 災害により倒壊して廃棄物となった家屋の除却にあたって、市町村による処理が特に必要であると認められる場合
(対応内容)

  • 倒壊し家屋の除去費用について、国の補助が活用可能
◯ 災害救助法
(条件)

  • 都道府県知事が該当市町村に災害救助法を適応した場合
  • 倒壊した空き家等の一部が残存した場合でも、その部分が近隣の住民の生命又は身体に危険をおよぼすおそれがあると認められ、市町村が自ら必要な措置を行った場合
(対応内容)

  • 災害救助法に基づく障害物の除去として、国庫補助の対象として除去が可能
  • ただし、後日、空き家等の所有者が判明した場合は、所有者に除去に要した経費の請求をすることが原則

※H24.3「大雪に対する防災力の向上方策検討会報告書―暁雪地域の防災力向上に向けて―」をもとに作成