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実家の空き家を大改修。店も人も集まる、まちに開かれた編集室〈四国食べる商店〉とは。仏生山まちぐるみ旅館 vol.5

2016.04.04

空き家と四国食べる商店【香川県高松市】

普段、当たり前のように食べている物が、どのようにして作られているのか。小学校で学んだことですが、大人になると忘れてしまいがちですよね。食べ物を食べるという当たり前の行為を当たり前にできていることが、実はけっこう奇跡的で幸せなことなんだよ、というのを教えてくれる情報誌があります。

その情報誌は一風変わっていて、書店では販売していません(基本的には)。何故なら、雑誌と食べ物が一緒になっているから。「食べる通信」と名付けられたその情報誌は、食べ物を作った生産者のお話と食べ物自体がセットになって、定期購読をメインに販売しています。

実家の空き家を大改修。店も人も集まる、まちに開かれた編集室〈四国食べる商店〉とは。仏生山まちぐるみ旅館 vol.5

実家の空き家を大改修。店も人も集まる、まちに開かれた編集室〈四国食べる商店〉とは。仏生山まちぐるみ旅館 vol.5

この画期的な取り組みは、東日本大震災のあと、2013年7月から東北地方で始まりました。その後、この活動は全国に広がり、今では20を超える地域で発行されています。

空き家とは何の関係もないように思える導入になりましたが、実はこの「食べる通信」の広がりのひとつ「四国食べる通信」が空き家と密接に関係しています。今回は、コロカルさんをネタ元に書かせていただきます。

編集長の空き家になった実家を、編集部+商店として再利用

「四国食べる通信」の編集部は、編集長である眞鍋さんの香川県高松市にある実家=空き家を元に作られています。しかも、ただの編集部ではありません。実家の空き家をリノベーションする際に、地域の食材を販売する「商店」として機能するように作られています。その名も「四国食べる商店」。食べ物についての雑誌を作る編集部では、食べ物も売っているんです。

さらに空いたスペースにはマッサージ店とカフェが入り、食にまつわるイベントを不定期で開催しています。
つまり、この元空き家は、
・四国食べる通信の編集室と作業場
・食材を販売する商店
・マッサージ店とカフェ
・イベントスペース
として機能しているワケです。無目的な空き家が、ずいぶんと多目的な場に様変わりしました。

パレットを壁面に使用して、コストダウンと施工の簡潔化

壁面にはパレットを使用

実家の空き家を大改修。店も人も集まる、まちに開かれた編集室〈四国食べる商店〉とは。仏生山まちぐるみ旅館 vol.5


この「四国食べる商店」へのリノベーションは、すべてセルフビルドで行われました。編集部のある1階は、キッチンとバックヤードを残して、間仕切りをすべて撤去。天井も床もない状態にして、大きなワンルームを作りました。

面白いのが、その内装です。「一体感を持たせるために」と香川県産の檜でできたシマシマパレットを使用して、壁全面を囲っています。本来パレットは、その上に荷物などを置いて側面の空いたスペースにフォークリフトのツメをグサッと差込み、運ぶ際に使用するもの。それを壁の材料にしてまうとは……。さすが、雑誌の編集長。アイディアが豊富です。このパレットを使用することで、大幅なコストダウンを実現し、施工も簡単に済みました。

そして、出来上がったのが、真ん中に大きなテーブルを置いた広々とした空間です。しかも、パレットの壁面がオシャレさを演出しています。オシャレとは無縁な存在であったパレットが、まさかの活用法でオシャレに大変身を遂げました。この1階のスペースでは、食べる通信の編集会議や配送作業、イベントが行われ、カフェの食事スペースとなっています。

リノベーション完了後。パレットの壁面が意外とオシャレ。

リノベーション完了後。パレットの壁面が意外とオシャレ。


寝室だった2階は、そのままマッサージ店が利用。これは、合理的で無駄がない活用法ですね。

顔の見える商店、顔の見える編集部

スーパーなどの直売スペースで、生産者の顔写真が表示されている場合がありますよね。
この「四国食べる商店」では、雑誌を作っている人の顔を見ることができます。
顔が見えることによって生まれるのは、安心感と信頼感です。
情報誌の中身では、前述したとおり生産者の顔だけでなく、その暮らしぶりも描かれています。
食べるという行為をする上では、「知ること」によって得られるのは安心感と信頼感だけではありません。
食べ物について「知ること」で、その食べ物がよりいっそうおいしく感じられます。
空き家と「四国食べる通信」が密接な関係であるように、情報と味覚も密接な関係にあるのです。

という訳で、空き家が見事に「四国食べる商店」として、多機能なプラットホームに生まれ変わった空き家対策の事例でした。画期的で魅力的な情報誌は、同じく画期的で魅力的なリノベーションをした場所で生み出されているのです。

この記事を書いた人
relax-man 空き家LOVEなフリーライター 「空き家」って、コトバの響きからして何だか素敵じゃありませんか? あきや・アキヤ・AKIYA・秋谷…って、あれ? 何か違う?! そのような訳で、空き家問題にはコトバの響きから興味を持ったという、茨城在住のフリーライターrelax-manです。 主な執筆分野は、山(低山)と農業。 今後は、空き家問題を右斜め45度の視点で(?)書いていきます! :Facebook :Twitter http://relax0906.wix.com/farmers-story
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